《空間現代コラボレーションズ2018》

 

飴屋法水×空間現代「馬」

 

作:小島信夫
演出:飴屋法水
出演:飴屋法水、西島亜紀
音楽:空間現代

 

2/2(金) 開演 20:00
2/3(土) 開演 20:00
2/4(日) 開演 20:00
2/5(月) 開演 20:00
※いずれも開場は19:30

予約3000円[当日券は+500円]

 

各回定員に達しましたので、予約受付を終了させていただきました。
当日券の有無については追って本ページにてお知らせいたします。

 

空間現代コラボレーションズ第一弾は飴屋法水×空間現代。小島信夫の短編小説『馬』を原作としたパフォーマンス作品の上演が決定しました。

自宅の庭に新たな家屋を建てようとする妻と、困惑し狼狽する夫。その一階に馬が住み、「私」は二階に・・・?
噛み合わない夫婦の会話、アタマのおかしい(とされる)夫の独白が魅力的な小説『馬』に、演劇界でも独特な存在感を放つ鬼才・飴屋法水と空間現代が挑みます。

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飴屋さんと初めて共演したのは自分たちのファーストアルバムの発売記念イベントに出てもらった時だから確か2010年3月頃の事だと思う。初めて会ったのはそのための打ち合わせの時で、確か新大久保の韓国料理屋だった。その時に「小島信夫の『馬』がいいと思う。空間現代は『馬』に合う」と言われたのを覚えている。それで飴屋さんは当日『馬』のテキストを用いた朗読パフォーマンス作品を披露してくれたのだった。
その後、レーベルHEADZの佐々木敦さんに飴屋法水×空間現代でアルバムを作ってはどうか、と言われたので再び連絡を取り合い、作る運びとなった。この前の朗読パフォーマンスを音源化するようなイメージで動き出したので、使用テキストは当然『馬』である。録音は2011年の2月頃で、東日本大震災の直前だった。ちなみに、その後音源制作は中断してしまい今もなおリリースできていないままでいる。
そして今回、2018年にまた『馬』をやる事になった。飴屋さんと空間現代の間には、初めて会った時から今までずっと、この『馬』が横たわり続けてきた気がする。まだ終わっていない、という感覚がずっと残っているのだ。

小島信夫の書く小説は人生を描写するのではなくて、書くことで/書かれたものが人生と同化していくような文体を持っている。遺作『残光』を読み終えた時、そう確信した。小説の最後と、人間の死。その有りえない一致が猛烈に迫り交錯する感覚は私を困惑させた。文字は今目の前にあるが、作者は数年前に既に亡くなっているということが、なんだかすごくおかしな気がしてきたのだ。小説の中の作者は今も文字として生きているが、たった今読み終えてしまったことで、今、亡くなったような気もする。ちょうど『馬 』の主人公が、自分に乗られている馬と、乗っている自分がどちらがどちらなのかわからなくなってくるように、書いた者と書かれた者の交錯が、小島信夫の文体にはある。

飴屋さんのパフォーマンスは、虚実の境界線をなくすような作風と評されるが、もしかしたら彼にとって虚実の境は元々なく、実Aと実Bがあるだけなのかもしれない。そのようなことを我々に突き刺してくる作風といった方がいいかもしれない。いや、あるいは、飴屋さんは生きており、今もここにいる。なので、虚ではなく実なのだ、ということが次第に虚に感じてくるようなパフォーマンスとも言えるかもしれない。私はこれまで何回かすごい光景を観てきた。今飴屋さんは死んじゃうかもしれない、あ、死んだ。と思ったことが一回だけある。それは東京・渋谷のライブハウスでの出来事だった。

2016年、まだ「外」の工事が終わっていない時に「京都にライブハウスを作ってるんです」と伝えると、飴屋さんは「そこで何かやりたい、やろうよ」と言ってくれた。その後、そのことを佐々木さんに伝え、何かアイデアありますかと訊くと「やっぱり『馬』なんじゃないかな」と言った。そう、やっぱり『馬』なんだと思った。
しかし、この7~8年の間、色々あったし、空間現代の音楽にも変遷がある。だから、再びやる、というよりは新しくやり直す、というつもりで取り組みたいと思っている。飴屋さんもそのつもりだ。京都のライブハウスで飴屋法水と空間現代が『馬』をやる。「演劇」と一括りには言えないものになるかもしれないけれど、そこには人がいて、言葉があって、音楽があるということだけは間違いない。

『馬』のテキストは不条理ながらもどこか可笑しみもあって、チャーミングに狂っている。この、極めて特異な小説家である小島信夫の言葉を出発点として、何ができるかまだわからないが、まっさらな気持ちで取り組みたいと思っている。

(空間現代 野口順哉)

 

飴屋法水

1961年生まれ。1978年に唐十郎の「状況劇場」に音響で参加。1984年に「東京グランギニョル」、1987年に「M.M.M」を立ち上げ、その独特な舞台表現で人気を集める。1990年より現代美術に発表の場を移し1995年の『ベネチアビエンナーレ』において『パブリックザーメン』を発表するが、同年作家活動を止め、様々な動物を飼育販売する「動物堂」を開始。2005年『バ  ング  ント』展にて作家活動再開後は、国際舞台芸術祭『フェスティバル/トーキョー』に参加する他、様々なジャンルのアーティストが出演するイベント『エクス・ポナイト』『吾妻橋ダンスクロッシング』にて領域横断的なコラボレーションを行う。これまでも朝吹真理子、山下澄人、吉増剛造といった文学/現代詩の第一線で活躍するアーティストの他、大友良英、テニスコーツ、七尾旅人、山川冬樹、青葉市子など多くの音楽家とのコラボレーションを行ってきた。

近年では2014年にいわきの高校生たちと共作した『ブルーシート』が『第58回岸田國士戯曲賞』を受賞する他、2017年に異色のドキュメント小説『彼の娘』を上梓、2018年1/20〜4/8に豊田市美術館にて開催予定の企画展「ビルディング・ロマンス」にも出品するなど、その表現活動は多岐にわたる。
https://twitter.com/norimizua

空間現代

編集・複製・反復・エラー的な発想で制作された楽曲を、
スリーピースバンドの形態で演奏。
これによるねじれ、 負荷が齎すユーモラスかつストイックなライブパフォーマンスを特徴とする。
2013年発表の劇団「地点」のブレヒト戯曲『ファッツァー』では音楽を担当。
生演奏で出演する京都での公演が好評を博し、モスクワ・北京でも上演を行う。
地点との共作第二弾として、マヤコフスキー戯曲『ミステリヤ・ブッフ』を2015年のF/Tにて上演。2016年9月、活動の拠点を東京から京都へ移し、自らの運営するスタジオ/ライブハウス「外」を左京区・錦林車庫前で開始する。
http://kukangendai.com/